出産後にお肌の調子が変わったと感じていませんか?
いつの間にかシミやそばかすが増えるというのも産後のお肌の特徴です。
また、産後はなかなかシミが薄くならないなんて言う人もいます。
何が原因で起こってしまうのでしょうか。
産後のお肌の悩みを改善するため、シミの種類から原因や対策についてチェックしていきましょう。

- この記事の監修者
- 美容皮膚科医 中島菓(なかじまこのみ)先生
- 帝京大学医学部卒業後、都内大学病院にて臨床研修を終え、大手美容皮膚科にて美容皮膚科医として約2年程勤務。現在は都内美容皮膚科クリニックにて美容皮膚科医続けながらフリーランス医師として、美しくなることで人生を豊かにできるをモットーに様々な活動をしている。YouTubeでは最新美容医療や韓国コスメを男女問わずもっと身近に感じてもらえるような動画を作っている。美容雑誌VOCEの公式ブロガーVOCEST!としても活躍中。
目次
シミの種類
シミはさまざまな原因で起こるため、種類もできる場所も1つではありません。
産後のシミ対策を知るうえで、まずはシミの種類と原因を把握しておきましょう。
加齢が原因のシミ
シミの中で最も多いタイプが「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」です。
別名「日光性色素斑」とも呼ばれ、加齢や紫外線によってシミができます。
- 【老人性色素斑の特徴】
- 形状:円形や楕円形に近く、境界がはっきりしている
- できやすい場所:紫外線を浴びやすい頬やこめかみ
- 色:薄茶色~茶色
- 大きさ:数mm~数cmとさまざま
頬やこめかみなど紫外線が当たりやすいところにできやすく、また年齢を重ねるごとに濃くなり、形もはっきりしてくるのが特徴です。
40歳以降にできやすいものですが、紫外線を浴びる機会の多い人は20代でできることもあります。
遺伝が原因のシミ
遺伝的な原因が主となるシミが「そばかす」です。
親や兄弟にそばかすがある場合にもできやすい傾向が見られているため、遺伝的要素が強いと言われています。
- 【そばかすの特徴】
- 形状:小さなシミが広範囲に
- できやすい場所:頬や鼻
- 色:薄茶色
- 大きさ:ひとつひとつは1~4mm程度
鼻や頬に小さなシミがたくさん現れ、幼少期から思春期、色白な人にも現れやすい。
女性ホルモンが原因のシミ
女性ホルモンのバランスの乱れが原因とされているのが「肝斑(かんぱん)」です。
30~40歳代の女性に多いシミで、ホルモンバランスの乱れが原因とされていますが、正確な原因は特定されていません。
- 【肝斑の特徴】
- 形状:輪郭や形状がはっきりしない、ぼんやりと広がる。左右対称にできる場合が多い。
- できやすい場所:頬骨あたり・額や口周り
- 大きさ:比較的大きく広範囲にわたることが多い
肝斑は一般的なシミとは形状が異なり、頬骨のあたりが左右対称にくすんでいる場合は、肝斑かもしれません。
産後に肝斑が濃くなった、という人も多いかもしれません。
肌の炎症が原因のシミ
肌の炎症が原因となって起こるシミが「炎症後色素沈着」です。
ニキビ、虫刺されや傷などで炎症した跡が赤や黒いシミとして残ります。
- 【炎症後色素沈着の特徴】
- 形状や大きさ:ニキビ跡や傷跡の形による
- できやすい場所:炎症を起こした場所
- 色:赤いものから黒い色までさまざま
肌の炎症はニキビや傷だけでなく、スキンケアで肌を強くこする、刺激の強い化粧品やピーリングなど目にはわからない程度の炎症も原因となります。
産後のシミの原因
妊娠中や産後には、体やお肌にさまざまな変化をもたらします。
シミやそばかすが増え、肝斑が濃くなったりもするのもその一つです。
お肌とも深い関わりのある女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が影響しています。
では、産後のシミと女性ホルモンがどのように関係しているのでしょうか。
女性ホルモンの活性化
産後のシミの原因の一つには、女性ホルモンの活性化が影響しているといわれています。
妊娠をすると女性ホルモンのひとつであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。
妊娠・出産に重要な役割のあるホルモンです。
これらの分泌が増えると、皮膚内部でメラニンを生成する細胞を刺激するためシミの元となるメラニン色素が増えてしまい、お肌にシミができやすくなります。
ホルモンバランスの乱れ
産後はホルモンバランスが乱れやすい状態であるため、シミの原因にもなっています。
妊娠中に分泌が活性化されていた女性ホルモンは、産後に一気に減少しますが、妊娠前の分泌量に戻るには出産から半年ほどかかります。
このバランスの乱れにより、肌は紫外線などの外部の刺激を受けやすくなり、色素沈着も起こりやすくい状態なのです。
シミを作らないための対策方法とは
産後は特にシミができやすい状態です。徐々にホルモンバランスも通常に戻っていきますが、日頃のケアやシミ対策がとても重要になります。
シミを作らないための対策方法として、生活習慣も見直してみましょう。
禁煙
タバコのニコチンは、メラニン生成を遅延させる作用を持つ抗酸化物質のビタミンCを大量に壊すため(タバコ1本でレモン半分のビタミンCが失われる!)、肌の色はくすみ、シミができます。
また、喫煙によって、健康と美容に重要な女性ホルモンの分泌や皮膚の血流を低下させるので、肌にさまざまな悪影響をもたらします。
- タバコによる肌への影響
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- 皮膚が乾燥する
- 新陳代謝が低下する
- うるおいやハリが失われる
- シミや深いシワができやすくなる
喫煙は、シミだけでなく美肌にとって大敵です。
紫外線は最大の敵
お肌にとって紫外線は最大の敵。
紫外線によってシミは発症や悪化します。
赤ちゃんを優先して、つい自分は紫外線対策をせずに外出したりしていませんか?
また、紫外線対策は夏だけすれば良いものではありません。
オールシーズン、曇りの日でも紫外線は降り注いでいるので、シミ対策には、妊娠中も産後も紫外線対策は必須です。
- 気をつけたい紫外線対策
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- 日焼け止めを塗る
- 帽子や衣服、サングラスをする
- 紫外線の強い時間帯の外出を避ける
これらの基本的な紫外線対策で、すでにできているシミをこれ以上濃くしないこと、そして予防していくことが大切です。
生活習慣の見直し
産後はどうしても赤ちゃんに合わせた生活サイクルになって、生活リズムが不規則になりがちです。
睡眠不足や不規則な睡眠は、シミやシワなどさまざまな肌トラブルを起こす原因になります。
寝ている間には、キレイな肌を作る「成長ホルモン」が最も多く分泌されます。
出産後は睡眠時間があまり確保できないことも多いですが、なるべく睡眠をとるように意識しましょう。
また、心身の健康につながる適度な運動は、肌を健やかに導く効果も期待できます。
出産後はストレスが溜まり、憂鬱な気分になってしまうことがあるので、軽い運動をするとストレス軽減にもつながりますよ。
ストレスもシミの原因となるので、できるだけストレスをためないようにする事も大切です。
周囲の人に協力を求めたり、リラックスできる時間を作ったりして、上手に生活習慣を見直してみましょう。
ビタミンの摂取
身体の内側からもシミ対策を行っていきましょう。
日頃から栄養バランスの摂れた食生活をすることも健やかなお肌作りには欠かせません。
シミを作らないためには、特にビタミンC・ビタミンEの摂取を積極的に行いましょう。
ビタミンCには、メラニン生成の働きを遅らせる作用や、すでにできてしまったメラニンに対しても色を薄める作用もあるのです。
また、産後の授乳中にはビタミンCを消耗するので、紫外線による影響から肌を守る機能が低下します。
育児時期は、ビタミンCの摂取を積極的に!
ビタミンEには、強い抗酸化作用があり、紫外線などさまざまな刺激からお肌を守ります。
不足しないようにすることで、シミ対策につながります。
食生活の中で栄養のバランスをとるのが難しい場合は、サプリメントなどサポート役として活用するのもおすすめです。
美容医療も選択肢の一つ
シミをセルフケアで薄くしていくには、地道なスキンケアが必要です。
シミを早く何とかしたいという場合には、産後のホルモンバランスの乱れが落ち着いてきたら、美容医療のフォトフェイシャルを受けるというのも選択肢のひとつです。
フォトフェイシャルは、IPL(intense pulsed light)という光を広範囲に照射することで、過剰に生成されたメラニンを分解し皮膚表面に排出します。
濃いシミ・そばかすの改善が期待でき、肌のターンオーバーを促すのでお肌のトーンアップも叶います。
さらにシミ以外にも小じわ、ハリ、毛穴、赤ら顔などといった肌トラブルも同時に解決することができる治療です。
また、マイルドな光を照射するため、肌への負担が少ないのがポイントです。
施術後は小さなかさぶたなどができる可能性はありますが、目立ちにくく、施術後すぐにメイクや洗顔をすることが可能です。
お肌の悩みが複数ある方、できるだけ肌への負担を抑えて治療したい方におすすめです。