シミの治療にはレーザー治療が一般的ですが、治療しても十分な効果が得られなかったり、かえってシミが悪化してしまったりすることもあります。
シミ治療を行うにあたっては、治療にどのようなリスクや失敗があるかを知っておくことが必要です。
目次
シミ治療の失敗、考えられる3つのケース
シミ治療を行っても、シミの悩みが解消されず失敗と感じられるケースもあります。
シミ治療の失敗は大きくわけると次の3つのケースがあります。
それを紹介していきます。
シミが改善されなかったケース
シミはレーザーを照射すればただちに消えるわけではありません。
症状により適するレーザーの種類や強さ、照射回数も異なります。
適切なレーザー治療が行われなかった場合には、シミが改善されないことも考えられます。
また、レーザー治療は今出ているシミを破壊するものです。
治療を行った場合でも、紫外線や加齢の影響により、新しく作られます。
そのため、一度シミ取りを行った後でも、すぐに再発した場合には改善していないように感じられるかもしれません。
悪化したように感じることもあるでしょう。
レーザー治療前より悪化したケース
シミのレーザー治療をおこなった場合に、治療前よりもシミが目立つようになることもあります。
失敗したのでは、不安になるかもしれません。
しかし、悪化したように見えても、実際には治療したシミは改善していて、違うシミが目立つようになったケースが多いです。
例えば、違うシミの原因には、レーザーの刺激による炎症後色素沈着(戻りシミ)や、肝斑の悪化などがあげられます。
肌がダメージを受けたケース
シミを消すには、メラニン色素を破壊する強さでのレーザー照射が必要です。
しかし、レーザーの強さが強すぎると、やけどや水ぶくれを生じる場合や、傷跡となって残ってしまう場合もあります。
一方で、弱すぎるとシミをきちんと取ることができず、再発を招くでしょう。
そのため、シミのレーザー治療を受けるには、シミの状態が正しく判断できる、経験が豊富な医師を選ばなければなりません。
シミ治療で戻りシミが起きてしまう!?
シミ治療で一旦シミが消えた後、同じ場所に新たにシミができてしまうことがあります。
このシミを炎症後色素沈着(戻りシミ)といいます。
これは、元のシミを消したときのレーザーの刺激によってシミができたものです。
炎症後色素沈着が起きる原因
炎症後色素沈着は、肌のメラニン色素の量の関係から、日本人の場合でレーザー治療を受けた方の約半数に起こるともいわれます。
レーザーによりシミが破壊される際に出る熱や衝撃による炎症で、新たなシミが発生したものです。
レーザー治療後1か月がピークで、その後時間の経過とともに薄くなり、6か月ほどで消えていきます。
炎症後色素沈着はシミ治療の失敗というわけではありません。
しかし、レーザー治療のリスクの1つとして知っておくべきでしょう。
炎症後色素沈着が起きてしまったら
炎症後色素沈着があらわれてしまった場合、対処の基本はスキンケアです。
色素沈着の部分に刺激を与えないようにし、紫外線のダメージから肌を守るようにケアしていきましょう。
ターンオーバ―とともに、数か月ほどで次第に薄くなっていきます。
しかし、治療をしてせっかくシミが消えても、戻りシミがあらわれると何かと気になってしまうものです。
医療機関によっては、レーザー照射後の炎症後色素沈着に対して積極的に予防や治療に取り組んでいるところもあります。
少しでも早く確実にシミから解放されたいとお考えの方は、医療機関を選ぶ際に参考にするとよいでしょう。
炎症後色素沈着の主な治療方法は、できてしまったメラニン色素に対して還元作用のあるハイドロキノンやターンオーバーを上げるトレチノインなどの外用薬の塗布などです。
加えて、日常生活では、紫外線や摩擦から肌を守り、例えば、タバコを吸っている方は控えることが必須となります。
また、まれに、時間が経過しても残ってしまう戻りシミもあります。
これは、炎症後色素沈着ではなく肌の奥にあった、取り切れていないシミが再発しているものです。
その場合は、再度レーザー治療をおこなうことで改善できます。
シミ治療で肝斑が発見される場合も
レーザー治療により気になっていたシミそのものは消すことができても、新たなシミが目立つようになってしまった、という人もいるかもしれません。
そしてそのことで、シミ治療が失敗したのではと感じることもあるでしょう。
この場合、多くは肝斑が原因です。
隠れ肝斑・・・?
肝斑は、目の周囲や頬骨に左右対象にあらわれるシミの一種ですが、現状肝斑が目立っていない場合でも、肌の奥には「かくれ肝斑」ができていることがあります。
肝斑は炎症が関係しているため、通常のシミ用レーザーでは消すことができません。
そのため、目立つ老人性のシミをレーザーで消した結果、肝斑が目立つようになってしまったということが起こるのです。
では、なぜシミが消えても肝斑が残るのでしょうか。
老人性のシミや紫外線が原因のシミの場合、レーザー治療でメラニン色素を分解して消すことができます。
しかし、肝斑は肌の炎症が関与していますので、通常のシミ取りレーザーの照射では、刺激となりかえって悪化します。
見えなかった肌の奥の肝斑の場合でも通常のレーザーを照射すると悪化し、表面に出てきてしまうのです。
そのため、シミのレーザー治療を行う前には、隠れ肝斑がないかどうか確認しておくことがおすすめです。
肌の奥にあるシミやシミ予備軍は、皮膚画像解析機器で見ることができます。
肝斑のリスクがある場合には、肝斑の治療をおこないながら、シミ治療を検討しましょう。
隠れ肝斑が活発化してしまったら
レーザー治療によって隠れ肝斑が活発化してしまった場合には、肝斑の治療が必要です。
抗炎症効果のあるトラネキサム酸の内服を中心に、ハイドロキノンやトレチノイン、ビタミンC誘導体などの外用剤を組み合わせた治療を行います。
また、レーザートーニングというレーザ―治療で肝斑の改善がみられた例もあります。
レーザートーニングは低出力のレーザーを使用するため、炎症が起こらず、メラノサイトが刺激されることもありません。
一般的なシミレーザー治療とは異なる性質を持つことから、肝斑改善への期待が高まっています。
まとめ
シミ治療に失敗したのではと感じた場合の多くが、実際には失敗ではありません。
しかし、通常の経過であったとしても、治療したシミが濃くなったり、再発したりすることは不安に感じるものです。
シミ治療には、治療内容や方法を確認してくれるだけでなく、アフターケアもサポートしてくれる医療機関を選ぶことをおすすめします。